薬王堂気まぐれ通信使№７９１ 2018-9-29~30
Yakuoudo Capricious Communications Satellite
ヒガンバナも盛りを過ぎて10月を迎えようとする月末、大学時代の恩師が広島を訪れてくれました。
目的は広島県に自生する植物を観察するということでした。
9月29日～30日は台風24号が日本列島を直撃するという天気予報に計画されていた元宇品～宮島の植物観察会は中止となりました。
そんな中、恩師ご夫婦だけは関東方面から広島入りをされました。
思い起こせば約50年前、昭和薬科大学の男子寮で4年間を過ごします。
その時の寮監でもあったのが今回来られた恩師、大学では植物化学研究室の主任教授でもあり私も生薬学の研究生であったことからずいぶんとお世話になりました。
私はさほどでもなかった！と思うのですが恩師の言によればずいぶん周りを手こずらせたいわく付きの学生(わる？)だったとのこと！
まあ～・・ いいか！
ということで29日、早速、向宇品の国有林を案内します。
明治27年・日清戦争勃発を機に広島に大本営が設置され東京からの鉄道網が整備されます。
宇品は戦地に物資や兵隊を送り出す港とされ広島駅から元宇品に宇品線(昭和35年撮影)が敷かれます。
本来は瀬戸内海に浮かぶ宇品島でしたが軍の管轄下となり高射砲や軍倉庫などが出来て一般人の立ち入りは禁止されます。
昭和天皇が皇太子であった時と思いますが宇品島の植物を観に来られたことがあると・・・
陸軍は急遽、島内に小径を整備して来訪に備えたとか・・
その小径が現在も残っていると聞いています。
明日は台風という中、歩きましたね。
カラオケマイク
特に珍しいものはありませんが国有林ということで伐採が禁止され昔の植物相が手つかずで残されています。
こんもりとした小山(最高地点５２ｍ)にはクスノキ・モチノキ・クロキ・センリョウ・ヒメユズリハ・ムクノキ・タイミンタチバナ・イズセンリョウ・ヤマモモなど南方で見られる樹木の他にカラオケマイクのような珍しい植物が見られます。
海岸では樹木以外に草本も含め、トベラ・マサキ・クスドイゲ・カワラヨモギ・ヤブミョウガ・コクラン・ツルナ・ヤブランなど海浜植物が多くみられます。
軍港だったこともあり外国からの帰化植物と思われる、アメリカセンダングサ(コセンダングサ？)やアメリカイヌホオズキ・ナガミヒナゲシ・トキワツユクサなども見られます。
シダ植物はベニシダ・ホソバカナワラビ・ホシダ・イシカグマ・ヒトツバ・ヤブソテツ・・などがあります。
小雨の中、植物観察
小雨の中でしたがいい植物観察が出来ましたね。
恩師ご夫婦と
２９日は元宇品のホテルに一泊され次の日、新幹線の指定を変更し台風と一緒に東京に向かわれました。
大学時代に迷惑をかけた罪滅ぼしが出来ました。
またお会いしましょう！
三日後の夕方、再確認のため私だけでもう一度、小径を歩いてみました。
